あなたが私にキスをした。

「…っくしゅん」


なぜだろう。

彼がいなくなったとたん、部屋が急に冷えてしまったみたい。

なにか温かい服が欲しくて、クローゼットを開けてみた。

そこには、トキワが着るのであろうコートが数着と女性もののコートがあった。



勝手に着たら怒られるかな。



そう思ったけれど、寒すぎるのでやっぱり着ることにする。

コートをとろうと手を伸ばしたとき、クローゼットの奥にアルミ製のお菓子の箱を見つけた。

隠すように置かれたその箱が、なんとなく気になって手に取ってみる。



ちょっとだけ重い。


なかに何が入っているんだろう。

ドキドキしながらふたを開けると、小さな箱と写真があった。

ぱか、と箱を開けると、

キラリと光るダイヤの指輪。



そして写真に写っていたのは――、



幸せそうなトキワと、私によく似た女性だった。