ジリリリリリ―――ッ
寝起きでぼやけた思考を吹き飛ばすかのように、けたたましいベルの音が室内に響いた。
「うわっ」
目を大きく見開き、体をビクっと震わせるとトキワは慌てて目覚まし時計に手を伸ばした。
「ひゃっ」
「あ、」
――ガシャーン。
無理に体を伸ばしてせいでバランスを崩した彼と、その体を支えようとした私。
そして、彼の指先に僅かに触れた目覚まし時計。
それら全てがベッドの上から無情にも放り出される。
落ちた目覚まし時計は衝撃で電池が外れ、もとの静寂が室内を包んだ。
「……」
大きく見開いた目と目を合わせて、しばし呆然としていた私たちだったが
「…ぷっ、あははっ…!」
床に転がり落ちたまま、私と彼はお腹を抱えて笑った。
