――Side トーコ
小さな部屋の小さなベッド。
大好きな人の背中に体を寄せたまま、私は初めての朝を迎えた。
肩にかかるくらいの男の人にしては長い髪。
昨日はひとつに束ねていたけど、寝ている間にほどけたのだろうか、少し彼の頬にかかっている。
もっとよく顔を見たくてそっとその髪に触れると
「ん・・・」
かすかな吐息が彼の口からこぼれた。
そして、コロンと体を転がして私の方に顔を向けた。
ゆっくりと開いた彼のまぶたの隙間から、薄い茶色の瞳がのぞく。
彼の細くて繊細な指先が、つぅ、と私の首筋をなぞると背筋がぞくりと震える。
彼の手は私の後頭部にたどり着いてそのまま私の頭を自分の方へと引き寄せた。
唇で感じる、彼の体温。
私の上に覆いかぶさるようにしながら、トキワは何度も私にキスを落とした。
愛おしそうに、だけどとても切なそうに。
その理由を私は知っている。
「レイ・・・」
うわ言のように何度も繰り返す、女の人の名前。
きっとその人を思い出しているから。
小さな部屋の小さなベッド。
大好きな人の背中に体を寄せたまま、私は初めての朝を迎えた。
肩にかかるくらいの男の人にしては長い髪。
昨日はひとつに束ねていたけど、寝ている間にほどけたのだろうか、少し彼の頬にかかっている。
もっとよく顔を見たくてそっとその髪に触れると
「ん・・・」
かすかな吐息が彼の口からこぼれた。
そして、コロンと体を転がして私の方に顔を向けた。
ゆっくりと開いた彼のまぶたの隙間から、薄い茶色の瞳がのぞく。
彼の細くて繊細な指先が、つぅ、と私の首筋をなぞると背筋がぞくりと震える。
彼の手は私の後頭部にたどり着いてそのまま私の頭を自分の方へと引き寄せた。
唇で感じる、彼の体温。
私の上に覆いかぶさるようにしながら、トキワは何度も私にキスを落とした。
愛おしそうに、だけどとても切なそうに。
その理由を私は知っている。
「レイ・・・」
うわ言のように何度も繰り返す、女の人の名前。
きっとその人を思い出しているから。
