ぼくが最優秀作品賞を受賞した、あの世界大会から3年と少しの歳月が流れた。
あの日、突然の家事でアトリエと家は全焼してしまったけど、世界中を飛び回って活躍できるようになった僕にとっては、もうあのアトリエは卒業するべき場所だったのかもしれないと思っている。
あの場所には、少しばかり思い出が多すぎるから。
「おかえりなさい、トキワ」
「ただいま、レイカ」
明るく玄関で出迎えてくれた彼女をだきしめると、すっかり身体が冷え切っていた。
僕が帰ってくるまで、いったいどれほどの時間玄関前で待っていてくれたのだろう。
「あーっ、パパぁ!おかえりなさーいっ」
玄関をあけると、小さくて可愛い天使が、僕の胸に飛び込んできた。
僕は幸せ者だ。こんなにも、たくさんの愛に包まれて生きている。
僕は、その愛おしい小さな体を強く、強く抱きしめて言う。
「ただいま、トーコ。愛してるよ」
END
