あなたが私にキスをした。


――side トキワ




久しぶりの帰国に、胸が高鳴る。



あぁ、はやく家に帰って家族に会いたいというのに、どうしてこうもたくさん取材がはいっているのだろうか。



「日本を代表する氷彫刻家ということで、今世界中でご活躍なさっているということですが、今一番楽しみにしていることはなんですか?」

「それはもちろん、日本で待っている家族に会うことですよ」

「そうですか。なんでも、トキワさんにはきれいな奥様がいらっしゃるとか。なかなか会えなくて寂しい思いをさせてるんじゃないですか」

「えぇ、だからはやくかえって会いたいんですってば。…まあ、もっとも妻も子どもが生まれてからはずいぶんとたくましくなって…僕がいなくても立派に子育てをがんばってくれているんですがね」

「いいですねえ。帰る場所があるからこそ、がんばれるっていうことでしょうね」

「と、いうわけで取材はそろそろよろしいでしょうか?それでは!」




僕は強引に取材を切り上げると、さっさとタクシーに乗り込んだ。