綺麗な花には棘がある。

「千里ー。春人くん来たわよー。」


下からお母さんの声が聞こえる。
その後すぐに階段を上がる音が聞こえて
階段を上がってすぐ右が私の部屋。
その扉が開く。



「夕凪。入るぞ。」




「春人。入ってから言ってたら遅いっていつも言ってるでしょ。」




私の言ったことなんか聞こえてないように何も言わずズカズカと部屋に入り私の教科書を開く。




私も頭が悪いわけではないつもりだけど春人には一回も勝てたことがない。
勉強もスポーツも。




春人は始めに国語に取りかかっていた。
私は苦手な数学から。


私たちはたまに気が合うなー。と思うことがある。
その一つは、
私も春人も苦手な教科から始める事。




しかもお互い苦手な分野は相手の得意分野だったりと勉強をする上では凄く気が合った。




「春人…わからない。この公式って…」





私は手元のワークを春人に手渡す。


春人は少し見てからワークに書き込んだ。


「お前ってだいたいポカミスだよな。ここ。2乗な!後この公式よりこっちの方が早く解ける。数学は時間との勝負なんだから面倒くさいことすんなよ!」



私のワークにはミスりやすいところにマーカーが引いてあった。


隅っこにポカミスしてんなよ!とか書いてあるし。



私がお礼を言おうとして顔を上げると春人はもう国語と戦っていた。



春人は想像力がないのかもしれない。
と、国語を見る限り思う。



この登場人物が何をどうとらえているか。
など、その人の目線になれない。

要は自分中心なのかも。



だから国語はいつも数点で負けてしまうけど
他のテストよりは勝てそうな所までいっていた。




だからもう少し頑張ろうって思えた。