綺麗な花には棘がある。

授業が始まれば静かになるはずもなく。

無意味に手をあげるやつ。
寝てるやつ。

意外と真剣に受けてる海藤春人がいて

私はそんなクラスを見るのが好きだった。


違う。

春人を見ているのが好きだった。




数学や科学。
自分で考えたりする教科は特に好きで
反対にただ覚えたりする暗記系の教科が苦手でつい、ウトウトしたり。


だけど負けず嫌いで苦手な教科はとことん勉強してしっかり結果に出す所。



がんばり屋でそれを自慢しない彼が好きだった。







「夕凪。帰るぞ!」





鞄を片手に春人が私を呼んでいた。


私が荷物をまとめるのに苦戦していると

ガバッと私の荷物を無造作に掴んだ


春人はスカスカの自分の鞄に突っ込み

行くぞ。と私を引っ張った。





「ん?てか春人自分の荷物は?」


「ロッカー。」

スタスタと前を歩く春人は振り返らずに言った。




ちなみに明日からはテストで
家に帰れば勉強をしないと赤点を取ってしまう。



「ちょっと春人。勉強しないつもり?」




私は少し早足で春人に追い付くと手を掴んだ。



そこでようやく足を止めこちらを振り返った春人はめんどくさそうに私を見た。


「お前の教科書あんだろ。」



そう言うとまた歩き始めた。



少しゆっくりと、
私が追い付けるように歩いている春人に
私は隣を少し早めに歩いた。