綺麗な花には棘がある。

「夕凪遅いよ。」

前を走る男の子。
時折振り返り私に声をかける。

草木が生い茂る道。
それが学校までの道。



私たちは時間がなかった。
今朝は私が寝坊してしまい彼を巻き込んでしまったのだ。



「夕凪早くしろって遅刻するぞ!」



自慢ではないが私はあまり運動神経が良くない。
だから私と彼との差はどんどん開いてしまう。


彼はそんな私に手をさしのべた。

「ほら!行くぞ。」

私が手を伸ばし掴むと同時にグンと力強く引っ張られた。


私は少し気恥ずかしくて前を見ていなかった。

だからそこから学校までは一瞬のように感じた。



学校には滑り込みで間に合った。



私たちの担任はとっても怖い男の先生。
遅刻したらどうなるか…


いつも竹刀を持っていて容赦なく叱る先生。

そんな人だった。