綺麗な花には棘がある。

「春人ごめん。学校に忘れ物しちゃった。」


「ごめん春人。寝坊したから先に行って。」


「ごめん春人。急用ができて先に行くね。」











「ごめん春人、、、。」


「なんかした?」






言い訳がだんだんとなくなり、最終的に春人から言われた言葉。






だけど、どうやって伝えればいいかわからない。



「今日は帰るぞ。一緒に。」




そういって私の手を掴んだ。


掴まれた手が熱い。



顔もだんだんと赤くなっていくのが自分でもわかる。


だけど、その瞬間わかってしまった。
彼が好きだって。


でも彼は私のことが好きじゃない。
ただ優しいから家が隣だから私といてくれるだけ。



私が好きって言ったら何かが変わってしまう。
今までのように一緒にはいられない。
そんな気がして私は何も言えなかった。














だから6年生の終わりに彼、海藤春人が引っ越してしまったとき後悔だけが残った。



変わってもいいから言えばよかった。







どうして言えなかったの。
どうして、どうして。



そうして私は彼に何も言えなかったこと。



彼が最後に、今までありがと。といい。
私もありがと。と言った。
お互い笑顔だったけど



私には空っぽの笑顔だけが残った。