「ちょっと来て」


彼はそう言うと、廊下をすたすたと歩いて行った。


放課後の教室で呼び止められたと思ったら、「黙って俺についてこい」とばかりに勝手に彼は歩き出す。


あたしは、彼の後を別に急ぎもせずに追っていく。


坂上くんの肩はあたしよりもずっと男の子で、大きなエナメルのバッグがよく似合っていた。