1時間。




「それでさ…」


坂上くんが遠慮がちに話しかけてきた。


「田中さんを描きたいんだ。ダメかな?」


ここにきて、あたしはやっと彼は絵が上手だった事を思い出した。



休み時間に水口くんや、他の友達と盛り上がれるくらいに。

絵で何かすごい賞を取れるくらいに。

接点なんて何一つないただのクラスメイトの女子を何故か「描きたい」と思うくらいに。


彼は絵が上手なのだ。