1時間。



「田中さん、男子の間で美人で有名だよ」


そんな情報はどうでもいいのだけれど、あたしは黙って彼の話を聞いていた。



「…やっぱり田中さんは美人だね」

 

彼はあたしの顔を数秒見つめて呟いた。


「先輩も後輩も言ってるし、ほら、水口も言ってるよ」


水口くん…、確か坂上くんと仲が良かったはずだ。

水口くんはあたしを美人だなんて思っているのか。