季節は梅雨。


実家から遠く離れたK市の私立大学に入学して2カ月とちょっと。


ここには誰も昔の私を知っている人がいない。


今まで、人と違うことができなくて、嫌われるのが嫌で、なんでもマニュアル通り、人の期待通りに卒なくこなしてきた。

中学でバスケをしていて、そこそこ実力もあったのに、高校はスポーツ推薦を断り、親の期待通りの進学校へ。

そこでは、テスト、テストの日々。

恋愛は、同学年で人気のある男の子からの告白されて、まわりからも言われて、断りにくい雰囲気になり、なんとなく付き合ってみるも、本当にこの人じゃないとという訳でもなくて。

なんか自分がなかった。

なんか疲れてきて、逃げ出したかった。

誰も私のことを知らないところで一からやり直したくて、ここに来た。