<<美彩side>>

「卒業証書、授与。3年1組青山 花菜(あおやま かな)。」

「ひゃいっっっ!!」

あ、噛んでる。
花菜、緊張してるな~。
卒業式だから、いろんな人が見ているっていうのに。
まぁ花菜、あがり症だしトップバッターだし.....

「........ひゃっ..」


ズルッ.....ゴンッ!!


「.....ふふっ.....」

階段で足を滑らして、頭が確実に階段の角に直撃してるな。
花菜ドジだな、あれは。


ドカッッッ!!!


痛い!?
後ろを振り返ると、超絶笑顔の幼馴染がいた。
いや、後ろに幼馴染の龍ヶ峰 爽(りゅうがみね そう)がいるのは、仕方がない。だが、なぜ人を蹴っておいてそんな笑顔なわけ??私の腰が悲鳴をあげてるんですけど。
海より広い心を持っている私でも...いやちょっと言い過ぎたかもだけど、誰だって堪忍袋の緒が切れるっての!!

「爽!!痛いんだよ、馬鹿!!」


シーーーーン...

やばいな、これ。
この学年が珍しく静かで少し和やな卒業式の雰囲気が、氷のように固まったよ....
原因は、私だけども。
怒りながら、立ち上がって後ろに向いて叫んだ......んだから、それもそうだけども。

どうしよう、この状況...

そんでもって爽は笑ってるし、花菜は邪魔されて超怒ってるし。

はぁ、面倒だな。



「だああああぁぁーーー!!」

.....えっと...?
みんな、びっくりしてる。
私も当然びっくりなはずなんだけど、原因は多分というか、絶対あいつしかいない。

「俺がこんなに珍しく静かにおとなしくしてんのに、うっさいんだよ。お前!!」

と、言いつつ指を指すのは、私。
っていうか、指すなよ。
うっさいのは、お互い様だけど...っていうかお前の方がうっさいよ、確実に!
お前、教師だろ!!