小さな恋の物語 *短編集*

「北原くん!! 頑張って!」



 たくさんの観客がいて応援の声がたくさん聞こえてくるこの体育館。



 そんな中で聞こえるはずのない愛しい人の声が俺の耳に入ってきた。




 びっくりして松井が座っている方を見ると、手をぎゅっと握りしめて俺たちを見つめていた。



「松井……」



 疲れてても、今の松井の応援で力が湧いてくるなんて、俺どんだけ松井に惚れてんだろう。



 でもさ、やっぱり応援してもらえたんなら、ちゃんと勝たなきゃいけない。




 ……いや、勝つんだ!!