小さな恋の物語 *短編集*




「じゃあ、俺はこれで失礼しますね」



 また少しの間、桜を眺めてから優しく微笑んだ。



 そして「またっ」と、軽く会釈して図書室から出て行った。





 出て行ったのを確認してから私はいつも座る特等席へ向かった。



 その特等席はと言うと、さっき彼が座っていたイス。



 そこに私も腰掛けた。