「るーんるーん」
新品の靴が、スキップしてる。
「るーんるーんるるーん」
ポニーテールが元気に揺れる。
「るっ!ってきゃああー」
どすん。
衝撃を感じた。
ひざを見ると、血がでていた。
ああ。
私はうずくまった。
「浜坂家の不運、やんなっちゃう‼」

説明しよう。
私の名前は浜坂りりか。
今日は私の華のJK生活がはじまる予定の日。
だったのに.
朝から登校とちゅうに転ぶって何ごと⁉
私は手に力を入れて立ち上がろうとした。
ところが。
また路上に落ちていく私の体。
「はー⁉」
立てない。
ああ、神様。
今、私はあなたを呪ってやりたい。
もう一度、だめもとで立とうとする。
やっぱり無理。
傷が痛む。
「あ~あ。」
誰か助けてくれないかなあ。
だって路上にすわりこんだままなんてかっこ悪いもん。
こんなとき、さっそうと王子様が現れてくれたらいいのに。
もういい。
恥さらしのようなものだけれど、ここは、住宅街だから叫んで近所の人に助けてもらおう。
息を思い切り吸い込む。
こんな時だけど、朝の少しひんやりした空気は、気持ちよかった。
「誰か〜、助けて〜。
私の名前は浜坂りりか!転んでしまって
うごけません。
助けてください、お願いします!」
次の瞬間、現れたのは、たくさんの近所のみなさん…
ではなく、一人の美少年!
私のテンションは急上昇!
少し栗色っぽい髪の毛で、メガネの奥の目が輝いている。
そんな人が今、私のために小走りでかけて来てくれている。
ああ、神様…。
あなたは私を裏切ってなどなかった!