後ろで、さっきまで私を見ていた男の子がナオの姿を目にして不思議そうに首を傾げている。

「なんだ、直洋の女か・・・」そんな言葉が今にも聞こえそうなくらいに、私達に熱い視線を向けてくる彼ら。


なんだか気まずい私は、思わずナオに向かって歯をむき出した。


「お、遅いよっ!私がどれだけ・・・」


「あー、ごめんごめん。さ、帰ろう」


適当にあしらって私の頭をポンポンと叩くと、ナオはさっさと前を歩いていく。


「あ、待ってよ!」


慌ててナオの後を追うも、後ろからの今にも私に穴が開いてしまいそうなくらいの視線に、まだどきまぎしていた。


「ナ、ナオ!」

「ん?」

「歩くのはやい・・・」

「ごめんね」

青木直洋は私の幼馴染で、小中高とずっと一緒にいたよしみ。


唯一、私が男性恐怖症だということを知っていて、理解してくれてる人だ。


そして、私はナオと呼んでいる。


男の人に触れるだけで、過呼吸になってしまう私は、ナオにしか触れることができないし、近づくことが出来ない。


一応ナオも男性だけど、昔から一緒にいた所偽か、ナオだけは平気だった。