「きゃあ!」
ユキの悲鳴に振り向くと、すり抜けた男たちが馬車をひっくり返そうとしていた。
俺は慌てて野党たちを引き放し、中からユキを連れ出した。
「ご、ごめん・・・っ」
「いや。こっちに」
ユキを背中に隠し、じりじりと野党たちから距離をとる。
「王妃をよこせ!」
「よこせ!」
「貴様らにユキは渡せん!」
やはり、目的はユキか。
さしずめ誘拐し身代金でも要求するつもりなのだろう。
一瞬、過去の自分と重なり唇を噛みしめた。
「殺せ!」
「うああああ!」
切羽詰まった野党たちが一斉に襲い掛かる。
俺は、その攻撃を防ぎながら懸命にユキを護る。


