「おいクソガキ。お前名前は」
「イチ」
「イチ、か。ま、クソガキで十分だな」
どうせ、もうこれっきりだ。
「ノアって、ムキムキだな!」
「あ?・・・ああ。鍛えてるからな」
ガキの視線は俺の身体。
あちこち傷だらけでガキに見せるような身体じゃねぇけどな。
「かっこいいだろ」
「うん」
「・・・なんだ、素直だな」
やけに素直にうなずかれ拍子抜けする。
ガキなりに、こういうの憧れたりすんのか?
「ムキムキになりてぇの?」
「うん。母ちゃんを護れる男になるんだ!」
目を輝かせたガキはそう言って立ち上がった。