男装騎士~それから~




蹴られたお腹と、縛られた手足が痛い。
うつらうつらする意識の中、辺りを見渡す。

男は、外を警戒しながら部屋の中を落ち着きなく歩き回る。


何度か外に出て行き、しばらくしては戻ってくる。
それを繰り返していた。



城の人と交渉をしているんだろうか。




みんな・・・・。



迷惑をかけてごめん。




胸が騒ぐ。
気を確かにもたなくちゃ。


気が緩めば思い出してしまう恐怖。




怖い・・・。




少しだけ落ち着いてくると、逆にあの時の恐怖を、今になって思い出してしまいそうだ。
ドクン、ドクン、と鳴る心臓。


脂汗が滲み、恐怖に目を固く閉じた。




最初の威勢はどこに消えてしまったんだろう。




「うがああああ!!!」