「そりゃ、通うしかないだろ」
ノアにバッサリとそう言われ、僕は約束通りあの店にやってきていた。
今日は休みだ。
だから、私服。
とりあえず相手を知ることだとノアに言われた。
言われたからってきてるわけじゃないし。
これはただ、約束したからで。
それにまだ恋だなんて決まっていないのだから。
そう言い聞かせながらも、なかなか一歩踏み出せずにいた。
「ありがとうございました」
カランカランと音がして、可憐な声が聞こえた。
一気に心臓は音を立てる。
「あ!フランさま!」
僕に気づいてくれた彼女が笑顔を僕に向ける。
ああ、その笑顔が僕は見たかった。
「やあ」
「いらっしゃいませ」
吸い寄せられるように、僕は中に足を踏み入れた。


