「・・・っ!」
「待て!カイ!どこに行くつもりだ!」
飛び出そうとした俺を、レオさまが引き止める。
どこにって、決まってる。
「あいつを助けに行く!」
「勝手なことをするな。お前を行かせるわけにはいかない」
「なに・・・?」
「お前は一応、償いとしてここにいる。なんの償いでか、忘れたわけじゃないだろう」
わかってる。
俺は、ユキを同じように誘拐した。
誘拐して、死の恐怖を味あわせた。
俺が、助けに行ける権利はない。
俺は、今回ユキを誘拐した男と変わらない。
「それに、下手に動いてユキに何かがあってはいけない。グレン、できるだけ情報を集めろ」
「はい」
俺に、ユキを助けに行く資格はない。
そんな事、わかっている。


