首にマフラーを巻き、それで口元を隠している大男。
あの人が、私を誘拐した犯人・・・?
「あなた、一体何が目的!?」
「威勢がいいねぇちゃんだなぁ。あんた、あの城の騎士だろ?知ってんだ。お前を人質にすれば、どれくらい貰えるかなぁ?」
「お金のため!?」
「当たり前だ。世の中、金が全てなんだよ!楽して稼ぐ。最高じゃねぇか!」
大口を開け笑う男に嫌悪感を抱く。
まんまと捕まってしまうなんて。
悔しい。
「こんなことして、恥ずかしくないの!?こんなことしていないで、真っ当に働きなさいよ!」
こんな奴、縛られていなければ私一人でも十分戦えるのに。
ギリギリと歯を食いしばる。
「うるせえ!少し黙ってろ!」
男は思い切り足を振り上げると私の腹を蹴り上げた。
息がつまり、激痛に咳き込み顔を歪めた。
「かはっ!げほっ!!!」
頭がくらくらし、意識が遠ざかる。


