「わ、ご、ごめん!」
慌てて後ずさると、カイもぎこちなく目を泳がせる。
な、なんなの、このぎこちなさ!
「ありがとう、助けてくれて」
「いや」
カイがあんなこと言うから。
変に意識しちゃう。
特別な意味なんて、ないんだよね?
「気をつけろよ」
「うん」
気を取り直して歩き出す。
近いような遠いような二人の距離感に、こそばゆさを感じる。
「・・・あんなこと言うつもりは本当はなかったけど、本心だから」
「え?」
「お前の事、護るって言った事」
「え・・・・」
カイを見上げる。
でもカイは、まっすぐ進行方向を向いていて視線が交わることはなかった。


