「すっかり夕暮れ」
「そうだな」
甘味処を出て街を歩くとすっかりもう夕方になってしまった。
休みの日って本当に早い。
それに今日は一人じゃなかったし、余計かな。
隣を歩く会を見上げる。
こんな風に、カイと並んで歩けるようになるとは思わなかった。
「カイ、今日はありがとう。楽しかったよ」
「別に、俺は」
「リリちゃんも元気そうでよかったね」
「ああ」
城に向かう坂道が少し寂しく感じる。
この時間が、終わる。
ズッ
「あっ!」
石に躓き前のめりに倒れそうになる。
それを、カイがとっさに腕を掴んで助けてくれた。
「ご、ごめん」
慌てて身体を起こすと、こちらに身体を傾けていたカイと顔の距離が近づいた。
至近距離で見つめあってしまい、顔が焼けるように熱くなる。


