「おい、百面相。シカトすんな」
目の前に座ったノアが不機嫌そうに言った言葉なんて気にする余裕もなく。
頭の中がぐるぐるとまわる。
なに考えてんだ、僕は。
たった一度、たった数分話しただけの相手だ。
「・・・ノア」
「あ?」
「ノアって、好きな人とか、いる?」
って、なに聞いてんの?
ほら、ノアが面白いことを聞いたって顔で僕の事見てる。
「なんだ、恋したのか?おーついになぁ」
「う、煩い!そんな事言ってないだろ!」
恥ずかしくなって、顔が熱い。
ああもう。
最悪だ。
「で、誰なんだ」
「だから、そんなこと・・・」
「フランがそんなこと聞いてくるなんて珍しいだろ。話してみろよ」
茶化している風でもなく、いたって真剣な声色に思わず僕は話してしまった。