「このお店で働いているんですか?」

「ええ。父と二人で」




エリサさんが振り向いた先には優しそうな年輩の男の人がカウンターに立って働いているのが見えた。




「ぜひ、コーヒーでも」

「ああ、いえ。任務中なので」

「そうですか」



僕の言葉に少し寂しそうな表情を見せる。
どうしてだろう、胸が騒ぐ。




「あの、明後日。明後日、僕の休暇の日なんです。ですから、その時に」

「・・・はい!お待ちしてます」




なんてことはない、客寄せのつもりだったんだろう。
それなのに、まんまと引っかかってる僕はなんと情けない。




「フラン!行くよー!」




なにも知らないユキが、呑気に僕を呼ぶ。
チラリと後ろを振り向くとエリサさんが笑顔で手を振っていた。