「え?宿?」
と朝から外に観光ではなく、宿に着いたことに、私は驚いた。
「まだ体が完璧に回復してないだろ?進藤先生がどこか体を休めることができる場所を確保して旅行を楽しむことを条件に、今回は許可をしてくれたんだ。
この宿は老舗旅館で、事情を話したら特別に朝から夕方までゆっくりしていいって言ってくれたんだ。
午前中は宿でゆっくりして、午後から外を観光するぞ。」
私はそんなに幸治さんや進藤先生が考えてくれていたなんて知らず、ポロポロと涙が流れた。
「そんなに嫌だったか?」
と幸治さんに聞かれ、すぐに顔を横に振り、
「違います。嬉しくって。」
と言うと、
「もう泣きやめ。せっかく化粧してきたのに、可愛い顔が台無しになるぞ。」
と言い、私の頭を撫でた。
え?可愛い!!!!
う、恥ずかしい。
と思っていると、幸治さんは私の荷物をもって、先に旅館に入って行った。



