扉が開いて、入ってきたのは進藤先生と幸治さん。






涙を流してるところを見られたくなかった。





今は喋りたくない。






何も聞かないで欲しい。






「かなちゃん、目が覚めた?」






と言われても天井を見たまま。






「麻酔が切れたと思うけど、痛みはどう?」






痛いよ。






声を出せないくらい痛いよ。






すると幸治さんが、私のマスクを少し外す。






幸治さん、痛いんだよ。喋りたくないよ。





「かな、、、なんでこうなったんだ?






進藤先生にちゃんと話しなさい。」






強い口調。そんな、私は手術したばかり。目が覚めたばかり。なんでそうやって、、、いつも私ばかり責めるの?






「佐藤先生、今は無理させなくていいですよ。





良くなったら話してくれるよね?」






なんで優しくなるの?怒ってたんじゃないの?





私が素直じゃないから。





いろいろ考えてると、涙が止まらない。





「で、、、て、、、って、、、」






「え?かな、なんて?」






「ひと、、、、り、、、、が、、、いい、、、、の、、、」






痛いよ。この言葉を言うのに、どれだけ辛いか。





術後なんだから、そっとしておいてよ。






「かなっ!」





突然幸治さんが怒り出した。





無理もないよね。






こんなわがままなこと言ってるんだもん。





進藤先生に失礼だよね。






「うん、分かった。佐藤先生、行きましょう。」






と進藤先生が言う。痛くなったらすぐ言うんだよと、添えて部屋を出て行った。