ノックをしてすぐに扉を開けると、ベッドに座ったまま本を読んでいる幸治さんがいた。
「遅かったな。」
と言って部屋に入るように手招きをする幸治さん。
でも、これ以上近づいたら、熱があったことがバレそう。
「遅くなってごめんなさい。
連絡もしないで、ごめんなさい。
もう遅いから、部屋に行きます。
本当に、心配かけてごめんなさい。」
と言うと、分かった、おやすみ。と幸治さんに言われ、扉を閉めて部屋へ行った。
ふぅ、バレなくて良かった。
それからすぐに寝て、朝を迎えた。
家を出るときはいつものように誰も起きていない。
私は昨夜、お母さんに心配をかけてしまったから、これ以上心配をかけないように、冷蔵庫に入った朝ごはんを取り出して、病院に持って行った。
病院に着くと、ニックが既にいて、私を心配してくれたけど、もう一度口止めをした。
昨夜のことは内緒にするようにと。
昨夜、熱で倒れたのに、朝になるとすっかり良くなっていて、本当にホッとした。
研修中に休むなんて、考えたくない。
私はそれから小児科での研修中に、体調を崩すことはなかった。



