未知の世界3


「おふくろがこれを渡せって。」



と幸治さんの手には紙袋があった。




「また朝飯食べずに、来たな。親父もかなの体を心配してるぞ。



しっかり食べて、体調を壊さないようにしろよ。」



そう言うと、昨夜のように私の頭を撫でて、幸治さんは職場に戻って行った。




また昨夜の出来事が蘇ってくると、私は顔を赤らめた。




医局に戻ると、




「かな、さっきのって・・・




一緒に日本から来た医者だよね?知り合い?」




とニックに聞かれる。




私は、曖昧に頷いて返事をした。




ニックはそれ以上聞かなかった。



昨日のことも、それ以上深くは聞かれなかった。



もう、どうでもいいと思ってくれたんだと、私は思っていた。