未知の世界3


「かな、起きてる?」




と言われ、私は体を起こして




「お、起きてます。」




と返事をすると、幸治さんはベッドのそばに来て、




「あ、そのままで。




かな、研修で無理しすぎだから。」




とつぶやくように幸治さんがいう。




「幸治さんの方こそ、帰ってこない日ばかりじゃないですか。」




「俺はいいんだ。仕事だから。それに体も丈夫だから。




お前は大学での研修という身なんだから、無理しなくていいんだ。



それに毎日、診てやれてないし。」




まぁ、そうだけど。




私は返す言葉がなかった。




「とりあえず診察するから。」




「えっ、今から?」




「あぁ、朝は時間がないだろ?」




「はい・・・。」




私は渋々ベッドに寝たまま、服をまくった。




幸治さんの聴診器を持った手が、私の胸に触れる。




深呼吸を繰り返した。



いつものようにリンパを触られる。




私は幸治さんの温かい手が触れて、全身がゾクッとした。




思わず幸治さんの手を自分の手で包んでいた。



ハッとして、手を離そうとすると、幸治さんに手を握られた。



そしてすぐに、幸治さんの唇が私に触れた。



私の思考回路は停止寸前だった。



驚いて唇が震えだした。



すると幸治さんが私から離れて行き、私の唇にソっと指で触ってきた。




「今まで我慢してたんんだからな。




日本に戻ったら、覚悟しとけよ。」




と言われた。




幸治さんは私の頭を撫でたかと思うと、立ち上がり、おやすみと言って部屋から出ていった。





は、は、恥ずかしい!




あんな言葉をマジマジと見られて言われるなんて。




今の私、顔が真っ赤に違いない。




それから1時間以上、幸治さんに言われた言葉で、悶々としながら、眠りについた。