未知の世界3


「もしもし、かな?」




久しぶりの幸治さんの声に、顔がほころぶ。





「もしもし。かなです。」





「今、大丈夫か?友達と遊びに行ったって聞いたけど。」






「大丈夫です。幸治さん、今は家ですか?」





私が友達と遊んでることを聞いたということは、きっとお母さんに会ったんだ。 
すると、久しぶりに幸治さんが帰宅したと思うと、今日帰ったら会えるかもしれないという期待が胸を踊らせた。





「ああ。ところで今晩、親父たちと食事に外に出るから、それまで戻ってこいよ。」






私はいよいよその時が来たと確信した。
今日、お父さんたちに私たちのことを話すんだ。




「分かりました。」






携帯を切ると、ニックが話しかけてきた。






「今の誰?」






「う、うん。」







私は幸治さんについて、ニックに話す必要はない気がした。
まだニックとはペアを組んで一週間。
たけるやまいにも話していないことを、ニックに話すことはないと思った。



浮かない顔をしているニック。





「今日ね、家族と夜御飯を食べるから、夕方までには帰らなきゃいけないの。
ごめんね、ニック。」





「え?」





顔を曇らせるニック。





それから私とニックの間に会話はなく、黙って歩いた。