それからまた何分も経った。
部屋から出る音は、進藤先生のため息と、幸治さんの荒い呼吸。
私は時々、呼吸をし忘れていることに気づき、静かに息をする。
「進藤先生、僕しんどいんで、病院で点滴お願いします。」
と幸治さんが沈黙を破った。
幸治さん、相当辛いのを我慢していたようだ。
「わかったよ。で、どうするの?」
と進藤先生に聞かれ、私は、沈黙を続けた。
行きたくない。病院には戻りたくない。
けど、許されることではない。
前回のことがあるから、無理には連れて行かれないだろうから、今日はマンションにいようかな。
「このまま、「行くよ!」
私の言葉は遮られ、進藤先生に部屋を出るように促された。
私は、渋々部屋を出て、進藤先生とふらふらしている幸治さんの後を追った。



