「あっそう。それはできないと思うよ」


呆れた私は特に反応していないですよ、という素振りをして、やりもしない数学の予習を始めることにした。


数学も嫌だけどそれよりもペースを乱される方がもっと無理だ。


けどやっぱり全然解けなくて、ノートと問題集を机に突っ込んで寝ようとする。


「さっきの反応、かわいかったね」


うるさい。


「すぐ数学やめたけど一問も解けなくて諦めちゃった?」


「黙って」


「黙らないよ」


う、うざすぎる……。


深い深いため息がつい漏れてしまう。


まるで深呼吸をして息を吐いたくらいの長いため息だ。


ちょっと頭が痛くなってきた。


「そうそう。放課後一緒に……」


だめだ。耐えきれない。


頭痛くなってきたし、保健室にいってこようかな。


私は立ち上がって、教室を出ようとする。


「どこいくの」


「頭痛だから一時間休むっていっといて」


「そう。大丈夫か?」


不安そうな顔をする。



大丈夫も何も君のせいなんだけどさ。


私は小走りで教室を出て行った。


よほど私が怖い顔をしていたのか、保健室に行くまではおもしろいほど道が空いていた。