「まあ、そっか」


あれ、そんな気にしてないみたい。


あと千鶴の何か企んでる笑みがちょっといらってきた。


「で、アユ〜? 藤くんになんて言われてたのかなぁ〜?」


千鶴はさっと後ろに周りゆなちゃんに聞こえないくらいの声で囁いてきた。


確実にからかってる。


「と、とくになにもぉ〜?」


とりあえずごまかす。


「わかりやすっ」


「だからなんもないって!」


千鶴に軽く頭突きをしようとする。


けど、すんなり避けられた。


千鶴は私の肩に腕を回してくる。


「まあなんでもいいけど、早くしなきゃゆなに取られちゃうかもね」


「そ、そんなの分かってるよ……」


ちらりとゆなちゃんを見ると不可解そうな顔をしていた。


たぶんゆなちゃんはそういうことは全く考えていないのだと思う。


いいなぁ。お気楽で。


「何二人でこそこそ話してるの?」


二人だけずるい……とゆなちゃんも近づいてくる。


「あーなんでもないよ。あっ、あたしこの後バイトあるんだった!!!」


嘘つけ。バイトしてないでしょ。


千鶴はバレバレな嘘をついて教室を出て行ってしまった。