藤くんはいつもわらってる



私は無意識に腕を伸ばしそうになる。


藤くんを撫でたい。


そう思う前に体が動いてた。


「アユ、ここの問題教えてくれない?」


「ーーっ!?」


びくっと体がはねた。


危なかった。あともう少しでやらかすところだったよ。


後ろを向くと、また問題用紙が目の前に突きつけられる。



声で分かる。



この人は……




「ゆ、ゆなちゃん?」




紙を受け取って、顔を上げると目をそらして照れくさそうにする友達がいた。


細かく言うと、最近仲良くなった女の子。


栗色の髪を後ろに束ねて、軽く先を巻いている。


脚も長く私のくりっとした目じゃなくて切れ長で長いまつげの美人さんだ。


なにより笑うとかわいい。


佐倉ゆな。ゆなちゃんと呼んでいる。


そしてゆなちゃんは私の結成した藤くん同盟のメンバー。


ライバルであって仲良しだ。


「最後から二番目の問題が分かんなくて」


悔しそうに眉をひそめる。


「あれ、ゆなも教えに来てもらったの?」


藤くんはゆなちゃんに気づいたのか、がばっと起き上がった。


ちょっと心惜しい……!


しかもなんでか藤くんはゆなちゃんがいるとすごく嬉しそうにする。


羨ましいなぁ。


ちょっと嫉妬する。


「だめだった?」


ゆなちゃんはしゅんと肩をすくめる。


なんてかわいいのだろう。


私は大丈夫だよ、と手を握った。


「そこ時間なくて解けなかったけどたぶん二分あればできるよ!」