「え、最後のやつだよね。あ、あれは解けたよっ。時間かけたもん」


そうだ。最後の問題はすごく難しかった。


私もムキになってそれだけに集中したから後でやろうとした問題は解く時間がなかったんだ。


終わった瞬間は後悔したけど、ちゃんと解けてよかったぁ〜!


「これね、ちょっとまってね。式書くから」


私はさっと胸ポケットからシャープペンを出して問題用紙に書きつけた。


ところどころに藤くんが書いた計算式が目に入るけど、くっちゃくちゃで何書いてあるかわからない。


そういうところもかわいいです。


「やっぱ高杉の字きれいだな」


じっと見つめられる。


嬉しいけど……めっちゃ照れる…。


「そ、そうかな? 小さい頃千尋と一緒に書道やってたからかも。ねぇ、ちひ……ってあれっ!?」


千尋がいつの間にかいない!


どこにいったんだろ?




ってあれ、つまりこれは。


二人きりってやつでは?(私達の近くに人がいないだけで二人きりってわけでもけど)


だめだ、意識するとドキドキしてきた。


「あー。なんかここ涼しくていいな」


必死に計算式と説明文を書いてると、藤くんは机に乗せた片腕を枕にしてリラックスし始めた。


天井から送られてくる冷風機の風が藤くんの髪をふわふわと揺らす。