というか、そもそも私は笑えないわけじゃない。驚いたり哀しんだり、感情だってちゃんとある。


今からでもやろうと思えばにっこりと愛嬌のある万人受けの笑顔はちゃんとできる。



けどそれは作り笑いだ。



他人に媚びてる表情だ。



中学時代、私はそれなりに友達は多かった。


けど、いっつも笑ってないとダメで、少しでもつまらなそうにしていたら仲間外れにされてしまう。
楽しいから友達といるのではなく、友達といたいから毎日楽しい振りをしなければならないのだ。


私は仲間外れにされることを恐れて三年間ずっと笑っていた。
そして、いつからか本当の笑顔が分からなくなってしまった。


もう笑うことは苦痛でしかなかった。
表情をどれだけかわいく見繕(みつくろ)っても、心はどんどん醜くなっていくのが辛かった。


そして高校生になった私は一人でいることに決めた。
わざわざ遠い場所を選んで入学したおかげで中学生の頃の私を知るものはいない。
一人でいることをあんなに恐れていたのに、今では心地よさを感じる。


いちいち無駄に大きなリアクションをしなくてもいいし、どうでもいい話を真剣に聞かなくてもいい。メールの返信に気を遣わなくても良ければ、場を乱すこともないから無愛想でいたっていい。


私は自由になったのだ。
だから友達なんて必要ない。
無理に笑う必要なんてない。