「いろいろあった」


「いろいろって一番わかんねーよ」


「言い表し辛いから」


同盟のことは言えない。


しかもそれが藤くん同盟でした、なんて死んでも言えない。


「まああれかな。その俺のファン同盟の一員として迎え入れられたり?」


「はっ!!?」


な、なんで知ってる!


「ふふーん」


「違う! それは断固ありえない!」


「いやー、噂流した甲斐があったな」


まてまてまて。


じゃあ私を巻き込んだあれはわざとっていうこと?


アユが反応するのを見越して……。


仮にそうだとしても意味がわからない。


「どうした?」


「どうしたって……」


いったい何の目的があるのだろう。


ていうか私なんかと噂になってメリットなんてあるはずないのに。


「とにかく、これでお前が自然に笑える環境が整った」


藤くんは腕を突き出して親指を突き立てた。


「あ、頭おかしい……」


私は眉間を手で抑える。




たったそれだけのために噂なんてたてる?



いや、ありえないでしょ。



いったい私の笑顔に何の魅力があるっていうわけ?


「おかしいか。でもさ、やっぱ笑顔が素敵な人には笑顔でいてもらいてーじゃん」


「素敵じゃないよ……」


そうやっていつも藤くんは笑う。


私よりよっぽど藤くんの笑顔の方が素敵だ。


羨ましいくらいだ。