A子の本名は高杉歩美。みんなからアユと呼ばれている。


セミロングでゆるふわにしていて、正直クラスで一番かわいい。


そしてギャルっぽいけど割と真面目な千尋と、バレー部の副キャプテンの遥、学級委員の瑞貴の三人。


この四人に私は藤くん同盟とやらのグループに密かに所属することになった。


あれから3日経つと、いつもどおりになっていた。


藤くんは相変わらず笑顔を振り向いて休み時間に廊下や教室で鬼ごっことかしている。


そして最初は驚かれたけど女子軍団の一員となった私はアユに永遠と藤くんに関する事を聞かれたり教えてもらったりしていた。




藤くんと知り合ってから環境がガラリと変わった。


たぶん、いや、絶対に関わっていなきゃずっと一人ぼっちだったと思う。




放課後、久しぶりに藤くんが玄関で待っていた。


ちょっと心臓がドキッとなったけど、深呼吸して収めた。


いまさらだけど二人きりで帰るのはかなり目立つ。だからあんな噂になったのに、懲りてないらしい。


「ゆな、最近高杉と仲良いよな。なにがあった?」


校門を抜けたあたりで、藤くんが私に聞いてきた。


少し前まで一匹狼だった私だ。


それがいつの間に女子の輪に入っていたのが気になったんだと思う。