「なにそれ、変なの〜っ」


A子の取り巻きがくすっと笑う。


「違うって言わない時点でもう好きじゃん」


「結構ひねくれ者だね」


「素直じゃないねー」


A子が私に近寄ってくる。


そしてなぜか手を握って、


「なんだ。じゃあ私たちと一緒。仲間だね! 藤くん同盟だ!」


声色が高くなる。


華やかな笑顔を見せた。


「は? え?」


藤くん同盟?


全く意味がわからない。


「だから、佐倉さん。藤くんが好き同士仲良くしようよ」


頭の上にハテナが浮かぶ。


他の三人もウンウンと頷いている。


「え、いや。普通藤くんが好き同士って敵対するもんじゃ……。しかも私、好きって言ったわけじゃないし」


ぎゅっ。


強く、でも優しく握られる。


「何言ってるの? 他の人は知らないけど私たちそんなんじゃないもん。まあ抜けがけは許さないけどね! それに佐倉さんのこと怖かったけど気になってたしさ」


ちんぷんかんぷんだった。


でも一つだけ分かった。この人達は思っていたよりもいい人たちだ。


「だから。まずは友達になろ?」





「う……」




断ろう。なんて考えは無かった。



この人達は私を迎えてくれる。



私はゆっくり頷いた。



高校生活初めての友達だった。



欲しかった、念願の友達。



友達なんていらないとか、嘘だったんだなって思った。




だって、本当に嬉しかったから。