あの軍団の一部だろう。
A子は私をその中心に立たせる。
逃げないようにだと思う。
「ったく、まさかにげようとするとはね」
「逃げてないってば」
「まあそんなことはどうでもいいの。まわりくどいのは嫌だから単刀直入に言うね」
A子に襟首をつかまれた。
私はじっとA子を見据える。
殴るつもりなのかもしれない。
でもその気になったら今なら階段からつき落とせる。
少しの時間口ごもっていたA子は、先ほどまでの高圧的な態度ではなくなっていた。
「ほ、ほんとに藤くんとつ、つっ。付き合ってるわけっ?」
「それは無いです」
私はきっぱり言ってやった。
するとA子の表情はパッと明るくなった。
襟首からてをはなしてガッツポーズを見せる。
「よかった! 嘘だったんだ。男子のひやかしだったんだ」
本当に嬉しそうだ。
この人達は藤くんのファン? のような感じのメンバーらしい。
他の三人も安堵していた。
というか、藤くんって結構モテるんだ……。
なんか胸の奥がモヤモヤする。


