そうか。
私、藤くんのこと、好きなんだ。
「ってなればいいんだけどね……分かんない。なんか分かんないや」
背中から倒れて、私は寝転がった。
「でも、ありがとうね」
ちょっと励まされた。
いつも私を心配してくれる。
うるさいしすぐ拗ねるけど、優しい姉が私は好きだった。
「ていうか、お姉ちゃんこそどうなの?」
ピタっと凍ったように動きが止まる。
「ん?」
「彼氏できた?」
「ん?」
私はそれ以上聞くのをやめた。
背中がすごく寂しく見える。
未だに中学生の時一回付き合ったきり、彼氏はできてないらしい(しかもその一回も半年続かなかった)。
話題を探してると、お母さんがやってきた。
「二人とも、ご飯。真由、顔怖いわよ」
「ん?」
お母さん、ナイスタイミング。
一瞬で重たい空気になった部屋から逃げて、私は階段を降りた。
今日の夕飯は久しぶりに全員で食卓を囲んでいるのにも関わらず、珍しく静かに黙々と食べていた。
姉がショックから立ち直ったのは、お風呂から上がったくらいだった。
ちなみにかわいそうになったからプリンは二つあげることにした。


