悔しすぎる気持ちを体育でぶつけたら思いの外、今日のトーナメントでは優勝できた。


特に藤くんペアとの準決勝戦はひたすら無心になった結果完封勝利。


やればできるっていうのを知った。


田辺くんもまさかの私の活躍に唖然としていた。私もびっくりしたけどね。


それ以降はとくにいつも通りで、藤くんもちょっかいを出さなくなった。



授業も終わり、帰ろうと下駄箱にいくとまた藤くんが待っていた。


「ん、おめでとう。めちゃくちゃうまかったじゃん。あれが本当の実力だったりして」


「そんなわけない。今日はたまたま。まあ誰かのおかげかもね」


ちらりと横目で藤くんをみると、わざとらしく首をかたむけていた。


「誰だろうな」


藤くんは分かりやすい。


目が泳いでいるから。


たぶん嘘もつけないと思う。


バカ正直っていうのだろう。


「それでさ、聞きたいことあるんだけど」


私は平然と隣にいた藤くんから距離をとってから話を切り出した。


前から思ってたことだった。