「ほら。俺が言ったのは……」
顔を近づけてくる。
焦げ茶色の瞳。
ふわっとしてところどころ跳ねている黒髪。
自信に満ち溢れてる顔。
鮮明に見えた。
なぜか、私は動けなかった。
「い、いやだっ」
「どうして?」
もっと近づいてくる。
意味がわからない。
吐息が耳にかかる。ぞくってした。
それなのに、嫌じゃない自分がいる。
変だ。おかしい。
「どうしてって」
耳元に口がくる。
「好きだよ。だろ?」
ーーーーっ!?
胸がどくんと鳴って、弾けた……気がした。
「なんてなっ! やっぱおもしろいわ!」
「す、好きってそんな簡単にいうものじゃない!」
藤くんは首をかしげる。
「そう? 俺、友達も好きだしゆなも好き。ま、友達としてな」
「いつ私が友達になったの……」
「昨日いっぱいしゃべったじゃん。友達みたいなもんだろ」
すごい短絡的な理由。
でも藤くんらしいのかもしれない。
親しい仲じゃないから知らないけど。


