朝の6時。
いつもより30分も早く目が覚めた。
たぶんいつもより早めに寝たからだ。
おかげで体の調子がすこぶる良い。
「うわ、体育か……」
携帯に保存してある予定表を見た私はせっかくの好調子が下がった気がした。
体育はバトミントンをやっていて、男女ペアのダブルスをしている。
正直私は運動が苦手。
番号順で決められた野球部の田辺くんと組んでいるけど負けるときは確実に私のせいだ。
すごく申し訳なくて逃げたくなる。
唯一の救いは藤くんとペアじゃないってところか。
「ってなんでその名前が出てくる……」
私は頭をぶんぶんと振って、洗面台で顔を洗いにいく。
口に含んだ水を吐き出して、鏡を見る。
大丈夫。赤くない。
「好きだよ、か……」
昨日のシーンがよみがえる。
触れられた時思った。
けっこう手が大きいな、と。
それに、藤くんは……
いやまて。まてまて。だからなんで。
なんで藤くんが出てくる。
嫌いな人なんて思い出したくもないはずだ。
なのに昨日のことばっかり。
もう、私自身が分からないよ……。