「俺は、好きだよ」
…………。
「えっ?」
思考が一時停止してしまった。
今、なんて?
好きって言ったの?
「なに、顔赤いけど」
「は、はぁっ!? それは藤くんが変なことを言うからっ!」
藤くんはニヤニヤする。
だめだ。これ以上一緒にいると私まで変になってしまう。
顔が熱い。体も熱い。
今日は涼しいから天気のせいだといいわけもできない。
だめ。こんなのまるで、藤くんのことーー。
違う。そんなわけない。
でも、なんでか、藤くんの顔が見れない。
「やだ! 大嫌い!」
頭の中のもやもやを振り払って、私は走り出した。
夢中で帰り道を疾走する。
走ってる最中、あの言葉が何度もよみがえってきてしまう。
“好きだよ”
ーー嘘だ。嘘に決まっている。
それか聞き間違いだ。そうだ。そうだよ。
本当だとしてもあれは私のことをからかってるんだ。そうにちがいない。
ああやって私の反応楽しんでるんだ。
よくわかった。藤くんはいつも笑ってて、そしてすっごくいじわるなんだ。
そんな藤くんなんて大っ嫌いだ!!


