「ということですので、姫様。部屋の前に衛兵をおいておきます。何かありましたら、お呼びください。」 では、と言い残し、ナキヤはまた走っていった。 私は、衛兵さん達に軽く会釈をしてから顔を引っ込めた。 ドアを閉めて、振り返る。 「それで、あなたが噂の怪盗さん?」 窓縁に座る、人影に向かって声をかける。 布で顔を覆っているし、雲が月にかかっていて、暗いのであまりよく見えない。 だが、刺さるような視線を感じる。 声の震えを必死に隠した。